はじめに

業務委託契約とは、委託者がある業務を受託者に委託し、受託者が自己の裁量と責任で委託業務を行う契約です。
業務委託契約は、製造など仕事の完成を目的とする請負型と、事務処理を目的とする準委任型の2つに分類されます。

業務委託契約は、企業・法人が業務の一部を外注する際に多く利用されており、委託業務や契約形態には様々なものがあります。
そのため、業務委託契約書の内容は、個別具体的な検討が必要となります。

このページでは、業務委託契約書のチェック・作成にあたって、一般的に注意すべきポイントについて解説させていただきます。

業務委託契約書のポイント

業務内容

業務委託契約では、委託業務の内容を可能な限り具体化・明確化することが重要です。
委託者と受託者とで、業務内容に関する認識に相違があるために、トラブルになることが多々あります。
業務内容が曖昧なままにスタートすると、追加作業の可否や代金の支払について、紛争が発生することが少なくありません。

業務委託契約書では、業務内容について、定義が不明確な語句を使用したり、「〇〇等」などの文言を多用したりすると、委託者と受託者とで認識の相違が生じる原因となります。
一方にとっては当たり前に使用している語句であったとしても、他方にとっては別の意味でとらえることも考えられますので、業務内容に関する双方の共通認識の確認が必須です。
また、具体的に記載できる事項は、逐一具体的に明記することが必要です。

再委託

委託者としては、受託者を信頼して業務を委託したわけですから、受託者が無断で委託業務を第三者に再委託することは、やめてもらいたいのが通常でしょう。
一方で、受託者としても、委託業務の一部を第三者に再委託することで、業務の効率化を図りたいと考えることもあるでしょう。

そこで、業務委託契約書では、事前に委託者の(書面による)承諾を得ることを条件に、受託者が委託業務の一部を第三者に再委託することを認める旨の条項を置くことが考えられます。

検査

業務委託契約において、仕事の完成を目的として、完成物の引渡しが予定されている場合には、業務委託契約書に完成物の検査に関する条項を置くのが通常です。
完成物の検査は、委託者が不良品の有無や数量について検査をし、検査結果を受託者に通知することとするのが通常であり、検査期間や検査方法などが定められます。

そして、業務委託契約書の規定として、委託者は検査期間経過後には不良品や数量不足について修正を求めることはできないとしつつ、検査では通常発見できないような不備が後々判明した場合には修補や交換を求めることができるとするパターンが多いです。
検査に関する条項は、その後の代金の請求・支払に直結する規定となりますので、代金関係の規定と連動させて最適の内容を検討していきましょう。

知的財産権

業務委託契約の完成物について、知的財産権が発生し得る場合には、業務委託契約書に知的財産権の帰属を明示する必要があります。
この点、委託者としては、完成物の知的財産権も含めて取得する趣旨であることが多く、その場合には知的財産権を委託者に帰属させる旨の条項を置くこととなります。
一方で、受託者が知的財産権を守りたい場合には、知的財産権を受託者に帰属させる旨の条項とする交渉を行うことが必要です。

秘密保持条項

業務委託契約において、当事者の一方または双方が相手方に技術上や営業上の秘密を開示せざるを得ないこともあります。
このような場合には、業務委託契約書に秘密保持条項を定め、それを遵守しなければなりません。
なお、秘密保持条項については、業務委託契約書とは別に秘密保持契約書を作成することも、よく行われています。
詳しくは、「秘密保持契約書」のページをご覧ください。

業務委託契約書に秘密保持条項を定める場合には、「委託業務を遂行するにあたって知り得た相手方の技術上または営業上その他委託業務に関連する一切の情報を、事前に相手方の書面による同意を得ることなく、第三者に開示もしくは漏洩し、または本契約の目的以外に使用してはならない」などの条項を置きつつ、開示時点で既に自己が保有していた情報や既に公知であった情報、法令の定めによって開示することが必要な場合などには、秘密保持の義務を負わない旨を定めるのが通常です。

個人情報保護

委託業務の内容によっては、委託者の保持する個人情報を、受託者が使用する場合があります。
委託者は、個人情報保護法により、個人情報の安全管理について必要かつ適切な措置を講じる必要がありますので、業務委託契約書に個人情報の取扱いに関する条項を置いたうえで、受託者の個人情報の取扱いを監督しなければなりません。

業務委託契約書に盛り込むべき個人情報保護の条項としては、個人情報の利用目的、個人情報の安全管理の方法、個人情報の第三者提供の禁止など、できる限り詳細に定めることで、個人情報保護をめぐるトラブルの発生を防止することが大切です。

偽装請負

業務委託契約では、偽装請負の問題にも注意が必要です。
業務委託契約は、受託者が自己の裁量と責任で委託業務を行う契約であり、使用者の指揮監督に従って業務を行う雇用契約や、労働者を派遣する労働者派遣契約とは異なるものです。
近年では、実質的には雇用契約や労働者派遣契約であるにもかかわらず、様々な法令上の制約を回避するために、業務委託契約の形式が取られる「偽装請負」が大きな問題となっています。

偽装請負は、受託者の従業員を委託者の事業所等で稼働させる場合に、特に問題となりやすいです。
偽装請負が発覚した場合には、労働基準法・労働者派遣法などの違反を理由に罰則の適用などを受けたり、委託者・受託者が派遣元・使用者としての責任を負ったりすることがあります。
このような事態を避けるために、実態として偽装請負に該当しないようにすることはもちろん、業務委託契約書に、①業務遂行に関して指揮監督するのが受託者であること、②労働時間などの労務管理を行うのが受託者であること、③業務遂行に要する資金を受託者が拠出することを条項として盛り込むなどして、偽装請負に該当するとの指摘を受けないように配慮する必要があります。

弁護士にご相談ください

以上のほかにも、業務委託契約書には、注意すべきポイントが多々あります。

契約書のチェック・作成については、法律の専門家である弁護士にご相談ください。
当事務所の弁護士は、これまでに、地域の企業・法人様から、契約書のチェック・作成に関するご相談・ご依頼を多数お受けして参りました。
ぜひ一度、当事務所にご相談いただければと存じます。

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