はじめに

内容証明郵便を送付するなど、交渉による債権回収を試みてもうまくいかない場合には、訴訟手続(裁判手続)による債権回収を図るのが通常の方法です。
交渉による債権回収を挟まずに、いきなり裁判所での訴訟手続を利用することも理屈上は可能ですが、まずは交渉による債権回収を試みた上で、最終的な手段として訴訟手続を選択することが多いです。
このページでは、訴訟手続による債権回収について、ご説明させていただきます。

少額訴訟と通常訴訟

少額訴訟

少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払を請求する場合に利用できる特別な裁判手続です。
少額訴訟では、原則として1回の審理で終了するため、迅速な解決を図ることが期待できます。
ただし、相手方が支払に応じずに、通常訴訟への移行を求めた場合には、通常訴訟の手続に移行されます。
そのため、最初から通常訴訟の手続を選択した方がよいというケースが多いです。

通常訴訟

通常の訴訟手続は、金額の多寡にかかわらず利用できる裁判手続です。
訴訟の手続は、一般的には紛争が長期化すると思われがちです。
しかし、債権の存在が証拠上明らかな場合などには、1回の裁判期日で直ちに和解が成立するとか、判決が下されるなど、早期決着が図られるケースも少なくありません。
通常訴訟の手続では、相手方の住所が不明な場合でも、判決を得ることが可能です。
以下では、通常訴訟の手続の流れについて、ご説明させていただきます。

通常訴訟の手続の流れ

訴状の作成・提出

通常訴訟の手続は、訴状という書面を作成し、裁判所に提出するところから、手続がスタートします。
訴状とは、請求する金額や債権の発生原因などを記載し、裁判所に支払命令(判決)を出してもらうことを求める書面です。
訴状には、証拠書類その他法律上必要となる附属書類を添付する必要があります。
訴状の作成・提出については、弁護士に依頼すれば、当然ながら弁護士が全て対応することとなります。

訴状は、提起する訴訟を審理してもらえる管轄の裁判所に提出することとなりますが、裁判所の管轄は法律で定められています。
法律上、金銭の支払を求める訴訟については、請求する側(債権者)の住所地・所在地を管轄する裁判所に提起することができます(青森県八戸市およびその近郊であれば、青森地方裁判所八戸支部または八戸簡易裁判所)。
しかし、もし契約書で特定の裁判所を管轄とする旨の合意がなされているのであれば、その合意が優先されますので、契約書に記載された裁判所に訴状を提出して訴訟を起こすこととなります。

また、請求する金額に応じて、地方裁判所に訴訟を提起するのか、簡易裁判所に訴訟を提起するのかが異なります。
請求する金額が140万円以下の場合には原則として簡易裁判所に訴状を提出し、請求する金額が140万円を超える場合には地方裁判所に訴状を提出することとなります。

第1回口頭弁論期日

裁判所に訴状を提出して訴訟を起こすと、1か月ないし1か月半程度先の日程で、第1回の口頭弁論期日(裁判期日)が指定されます。
第1回口頭弁論期日の日程は、訴訟を提起した原告側(債権者)と裁判所とで日程調整の上で、指定されることとなります。
第1回口頭弁論期日には、裁判所に提出した訴状等の写しや証拠書類の原本などを持参して、法廷に出頭する必要があります。

第1回口頭弁論期日では、訴訟を提起した原告側の請求内容や証拠書類の確認、訴えられた被告側(債務者)の反論内容や証拠書類の確認などが行われます。
もし被告側が第1回口頭弁論に出頭することなく、被告側の反論内容を記載した答弁書が裁判所に提出されていないという場合には、直ちに結審して判決が下されることがあります。
これを欠席判決と言います。
また、被告側が第1回口頭弁論に出頭し、原告側の請求内容を認めた上で、原告・被告間で支払条件について合意ができるようであれば、裁判上の和解が成立して訴訟手続が終結となります。
一方で、被告側が反論を提出して、原告側が再反論を求められるなど、さらなる審理が必要となる場合には、続行の裁判期日が指定されます。

第1回口頭弁論期日への出頭・対応についても、弁護士に依頼すれば、当然ながら弁護士が全て代行することとなります。

続行期日

裁判期日が第2回以降も続いていく場合には、裁判官による訴訟進行の指揮のもとに、原告(債権者)および被告(債務者)が準備書面(自身の主張内容などを記載した書面)や証拠書類を提出し、審理が進められます。
続行期日が開かれる場合には、毎回、裁判所に出頭する必要があります。
ただし、遠方の裁判所であれば、電話会議システムなどを利用して、現地への出頭なく手続を進行させることが可能です。
続行期日についても、弁護士に依頼すれば、対応を一任することができます。

尋問

裁判官が判断(判決)のために必要であると判断する時には、関係者(証人)や当事者(原告・被告)への尋問の手続が行われます。
尋問の手続は、関係者(証人)や当事者(原告・被告)を裁判所に出頭させ、事実関係に関する聴き取りを行うことで、判断(判決)のための材料(証拠)とするものです。
誰を尋問するために出頭させるのか、どのような事項を質問して答えてもらうのかなどは、専門的な判断が必要となります。
尋問の手続についても、弁護士に依頼すれば、弁護士に全てお任せいただけます。

和解

訴訟手続の中で、支払条件について合意して裁判上の和解をするための機会が設けられることがあります。
和解が試みられるかどうかについては、当事者(原告・被告)の意向や裁判官の判断によります。
和解のための話し合いの機会は、訴訟が提起された初期の段階、当事者(原告・被告)の主張や証拠書類が一通り整理された尋問前の段階、判決を控えた尋問後の段階で持たれることが多いです。
当事者(原告・被告)が支払条件について合意し、裁判上の和解が成立した場合には、裁判所が和解内容を記載した和解調書という書面を発行し、訴訟手続が終結となります。
和解内容に従って任意の支払を受けられれば解決となりますが、もし支払をしてこない場合には強制執行(差押え)による回収を検討することとなります。

判決

被告側が裁判期日に出頭せず、何らの反論もしない場合には、原告側の請求どおりに判決(支払命令)が下されることとなります。
また、原告・被告間で和解に至らなかった場合にも、裁判官が支払を命じるか否かの判決を下します。
裁判官が下した判決に不服がある場合には、判決書を受け取った日の翌日から14日以内であれば、上級の裁判所に控訴して争うことができます。
上記の期間内に原告および被告からの控訴がなければ、判決が確定します。
支払を命じる判決に従って任意の支払を受けられれば解決となりますが、支払に応じてこない場合には強制執行(差押え)による回収を検討することとなります。

弁護士にご相談ください

訴訟手続は専門的で複雑なものであり、専門家ではない方がご自身で対応することには大きな困難が伴います。
訴訟手続のプロである弁護士のサポートを受けながら、手続にご対応いただくことをお勧めいたします。
訴訟手続を弁護士にご依頼いただくことで、訴状の作成・提出から裁判期日への出頭、和解や判決に至るまで、手続の大半の遂行を弁護士に一任することができます。
当事務所の弁護士は、常に多数の訴訟手続の事案に対応しており、訴訟手続による債権回収の実績も豊富にございます。
債権回収についてお困りの企業・法人様がいらっしゃいましたら、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。

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当事務所の債権回収に強い弁護士の対応料金

●初回相談料:1時間1万1000円(税込)(顧問契約締結の場合は無料)
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