代理受領とは

代理受領とは、ある債権について、その債権の債権者の代わりに債務者から支払を受けることを言います。
例えば、自社が相手方に対して債権を有する一方で、相手方は第三債務者に対して債権を有するとします。
自社としては、相手方が第三債務者に対して有する債権について、債権の取立てと支払の受領の権限の委任を受けることによって、第三債務者から支払を受けることができます。
このように受領した弁済金をもって、自社の相手方に対する債権の回収にあてることができます。

代理受領は、相手方が有する債権に譲渡禁止特約が付いているなど、債権譲渡(代物弁済)の形を取ることを避けたいという事情がある場合などに、活用されます。
例えば、公共工事に関する官公庁に対する請負代金債権には、譲渡禁止特約が付いているのが通常です。
しかし、代理受領であれば譲渡禁止特約が付いている債権についても行うことができますので、債権譲渡と同様の効果を得ることができます。

代理受領の手順

代理受領による債権回収は、次のような手順で行います。

1 相手方から債権の取立てと支払の受領の委任を受ける

相手方が有する債権について、相手方から債権の取立てと支払の受領の委任を受けます。
具体的な手続としては、自社と相手方とで委任契約書の取り交わしを行います。
委任契約書では、①相手方は自社に対し、第三債務者に対する債権の取立ておよび支払の受領を委任すること、②相手方は自社の同意なく委任を解除することができないこと、③相手方は自ら第三債務者から支払を受けるなど、自社による取立ての妨げとなる行為をしないこと、④自社は取立てによって第三債務者から支払を受領したときには、自社の相手方に対する債権の回収に充当することができることを定めます。

2 第三債務者から承諾を得る

上記1の委任がなされれば、自社は代理受領の権限を得ることとなります。
第三債務者から承諾を得ることは、自社の代理受領の権限に影響を及ぼすものではありません。
しかし、代理受領について第三債務者の承諾を得ておけば、第三債務者が相手方へ支払をしてしまう事態を防止することができます。
そして、代理受領について第三債務者の承諾を得ておくことで、仮に第三債務者が相手方へ支払をしてしまった場合には、自社としては第三債務者に対して責任を問うことが可能となります。
ただし、代理受領について第三債務者から承諾を得られるかどうかは、明らかではありません。
第三債務者から承諾を得られない場合には、第三債務者に対して代理受領の合意がなされたことを通知し、自社に対して支払うように請求するという対応にとどまります。

代理受領の注意点

代理受領は、自社が相手方の代わりに債権を取り立て、支払を受領する権限を有するものにすぎません。
そのため、第三債務者としては、代理受領の対象となる債権について、相手方に対して主張できる抗弁があるときは、支払を拒絶することが可能です。
例えば、第三債務者も相手方に対して債権を有していれば、第三債務者が相殺をしてくるかもしれません。
そうなると、相手方の第三債務者に対する債権が消滅し、代理受領をもって債権回収を図る計画は失敗に終わってしまいます。
また、他の債権者が代理受領の対象となる債権を差し押さえた場合には、差押えの効力が優先することとなるため、代理受領の合意に従って相手方から支払を受けることができなくなります。

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