はじめに

労使紛争の解決方法・手続には、様々なものがあります。このページでは、労使紛争の様々な解決方法・手続について、概要や特徴をご説明させていただきます。

交渉

労使紛争が発生した場合には、まずは交渉による解決を試みることが多いでしょう。

労使紛争に関する交渉は、労働者から依頼を受けた弁護士が企業・法人に対し、内容証明郵便を送付するなどして、金銭請求や解雇無効などの要求を通告してくることから、スタートするケースが一般的です。また、社内の労働組合や社外の合同労組から、団体交渉の申し入れが来ることもありますし、労働者本人から、要求事項を通知してくることもあります。

企業・法人側としては、労働者側の要求に対して検討のうえで回答し、解決に向けた交渉を進めていくことが基本となります。そして、労働組合や合同労組から団体交渉の申し入れを受けたのに対し、団体交渉を拒否することは不当労働行為として違法とされますので、注意が必要です。交渉で話し合いがまとまれば、訴訟や労働審判よりも、迅速で柔軟な解決を図ることができます。一方で、企業・法人側と労働者側とで認識の相違が大きく、交渉による解決が困難なケースもあります。

仮処分

労使紛争が交渉で解決できない場合には、労働者側が企業・法人を相手方として、裁判所に訴訟(裁判)を提起してくることが考えられます。そして、労働者側から、訴訟の提起に先立って、裁判所に仮処分の申立てが行われることがあります。仮処分とは、緊急に一定の措置を講じる必要がある場合に、労働者の地位や権利を暫定的に確保するための手続です。

仮処分の例として、労働者が不当に解雇されたと主張している場合に、労働者の従業員としての地位を暫定的に維持し、給料の支払を暫定的に継続させる仮処分(地位保全・賃金仮払いの仮処分)が申し立てられることがあります。また、労働者がセクハラを受けていると主張している場合に、セクハラの禁止を命じる仮処分を申し立ててくることがあります。

仮処分が申し立てられてから、おおむね2~3か月以内には、仮処分を認容するか、却下するかの結論が出されます。企業・法人側にも反論の機会が与えられるのが通常ですので、労働者側の申立てが不当であると考えるときには、適切な反論と証拠の提出を行うことが必要です。弁護士のサポートのもとに対応されることをお勧めいたします。また、仮処分の手続中に、企業・法人側と労働者側とで交渉がまとまり、和解によって解決に至るというケースもあります。

訴訟

労使紛争に関する交渉が決裂した場合には、労働者側が企業・法人を相手方として、裁判所に訴訟(裁判)を提起してくることが考えられます。訴訟の内容としては、未払い残業代を請求するもの、パワハラやセクハラによる慰謝料を請求するもの、労働災害(労災)による損害賠償を請求するもの、不当解雇に対する従業員としての地位の確認(維持)を求めるものなど、様々なものがあります。

訴訟が提起された場合には、企業・法人側としては、労働者側の請求や主張に対する反論および証拠の提出をして、争っていくことが基本となります。訴訟の手続は非常に複雑で専門性の高いものとなりますので、弁護士のサポートのもとに対応されるのが無難です。そして、訴訟が提起された場合であっても、必ずしも裁判官の判決によって決着が付けられるわけではなく、裁判官が仲介し、当事者双方の納得のもとに、和解による解決が図られることも少なくありません。

訴訟が提起された場合には、解決までの期間の目安は、おおむね半年から1年程度です。

労働審判

労使紛争に関する交渉が決裂した場合には、労働者側が企業・法人を相手方として、裁判所に労働審判を提起してくることが考えられます。労働審判とは、裁判官1名と労使それぞれの専門的知見を持つ審判員2名で構成される合議体(労働審判員会)が、労働紛争の処理を行うものです。

労働審判では、おおむね3か月以内の短期間に3回以内の期日で集中審理が行われ、審判(裁判所の判断)が出されることになっており、訴訟よりもスピーディな解決を図ることが期待できます。また、審判が出される前に調停が試みられ、当事者双方が合意に至れば調停による和解が成立します。

裁判所が出した審判には、判決と同様の効力があるのですが、当事者のいずれかが審判に対して異議を申し立てた場合には、審判の効力が失われ、自動的に訴訟に移行します。そのため、事案が複雑である場合や、当事者間の対立が激しい場合などには、労働審判は不向きであり、最初から訴訟が提起されることが多いです。

労働審判は、審理の期間が短いため、裁判所での手続に臨むための準備を、タイトなスケジュールで迅速に進めていかなければなりません。労働審判の申立書が裁判所から届いた場合には、一刻も早く弁護士にご相談いただければと存じます。そして、弁護士のサポートのもとに企業・法人側の必要な主張・立証を展開し、適正な解決を目指されるのがよいでしょう。

裁判外紛争解決(ADR)

訴訟や労働審判のほかにも、裁判所に民事調停が申し立てられることがあります。また、裁判所を利用する手続のほかにも、労働局紛争調整委員会によるあっせん手続、労働委員会によるあっせん手続、弁護士会や社会保険労務士会に設置された紛争解決センターによる和解あっせん・仲裁手続などがあります。

これらの裁判外紛争解決(ADR)の手続は、一般的に、解決までのスピードが訴訟や労働審判と比較して早いことなどのメリットがあります。しかし、あくまで、裁判所や第三者機関に話し合いの仲介をしてもらえるにとどまり、当事者に対する強制力・拘束力はありません。

弁護士にご相談ください

以上のように、労使紛争は、様々な解決方法・手続によって解決が図られます。企業・法人としては、事案の内容および解決方法・手続の種類に応じて、適切な対処をしていかなければなりません。八戸シティ法律事務所では、これまでに、地域の企業・法人様から、労使紛争に関するご相談・ご依頼を多数お受けして参りました。労使紛争のことでお困りの企業・法人様がいらっしゃいましたら、ぜひ一度、八戸シティ法律事務所にご相談ください。

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