はじめに

企業・法人において、国家賠償請求の問題に直面することがあります。
国家賠償請求には、国家賠償法1条1項に基づく賠償請求と、国家賠償法2条1項に基づく賠償請求の2種類があります。

国家賠償法1条1項に基づく賠償請求

国家賠償法1条1項では、「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる」と定められています。

国家賠償法1条1項に基づく賠償請求については、行政処分の違法を理由として国家賠償請求をする場合に、あらかじめ行政処分の取消を求める必要があるのかという問題があります。
なぜなら、行政処分は、たとえ違法なものであっても、適法に取り消されない限り効力を有するものと解されているからです。
この点については、最高裁判所昭和36年4月21日判決は、「行政処分が違法であることを理由として国家賠償の請求をするについては、あらかじめ右行政処分につき取消又は無効確認の判決を得なければならないものではない」と判示しています。

逆に、行政処分が違法であるとして取り消されたことは、直ちに国家賠償法の違法性と結びつくものではありません。
最高裁判所平成5年3月11日判決は、税務署長のした所得税の更正処分が所得金額を過大に認定していたとして取り消された事案について、「税務署長のする所得税の更正は、所得金額を過大に認定していたとしても、そのことから直ちに国家賠償法1条1項にいう違法があったとの評価を受けるものではなく、税務署長が資料を収集し、これに基づき課税要件事実を認定、判断する上において、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更正をしたと認め得るような事情がある場合に限り、右の評価を受けるものと解するのが相当である」と判示しています。

国家賠償法2条1項に基づく賠償請求

国家賠償法2条1項では、「道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる」と定められています。
国家賠償法2条1項にいう営造物の設置または管理の瑕疵とは、営造物が通常有すべき安全性を欠いていることを言います。

ここで、河川等の自然公物については、道路のような人工公物とは異なり、管理における財政的、技術的、社会的な制約が多いという特色があります。
この点、最高裁判所昭和59年1月26日判決は、河川管理における様々な制約を踏まえて、「我が国における治水事業の進展等により前示のような河川管理の特質に由来する財政的、技術的及び社会的諸制約が解消した段階においてはともかく、これらの諸制約によっていまだ通常予測される災害に対応する安全性を備えるに至っていない現段階においては、当該河川の管理についての瑕疵の有無は、過去に発生した水害の規模、発生の頻度、発生原因、被害の性質、降雨状況、流域の地形その他の自然的条件、土地の利用状況その他の社会的条件、改修を要する緊急性の有無及びその程度等諸般の事情を総合的に考慮し、前記諸制約のもとでの同種・同規模の河川の管理の一般水準及び社会通念に照らして是認しうる安全性を備えていると認められるかどうかを基準として判断すべきであると解するのが相当である。
そして、既に改修計画が定められ、これに基づいて現に改修中である河川については、右計画が全体として右の見地からみて格別不合理なものと認められないときは、その後の事情の変動により当該河川の未改修部分につき水害発生の危険性が特に顕著となり、当初の計画の時期を繰り上げ、又は工事の順序を変更するなどして早期の改修工事を施行しなければならないと認めるべき特段の事由が生じない限り、右部分につき改修がいまだ行われていないとの一事をもって河川管理に瑕疵があるとすることはできないと解すべきである。
そして、右の理は、人口密集地域を流域とするいわゆる都市河川の管理についても、前記の特質及び諸制約が存すること自体には異なるところがないのであるから、一般的にはひとしく妥当するものというべきである」と判示しています。

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