はじめに

介護事業を営む企業・法人において、介護事故による損害賠償の問題が発生することがあります。
近年では、我が国の高齢化が進行し、介護事業者や利用者が増加する中で、介護事故による損害賠償のトラブルも増加しています。
介護事故には、転倒・転落、誤嚥、褥瘡、離設など、様々な類型のものがあります。

介護事業者の損害賠償責任

介護事故による損害賠償が認められるためには、介護事業者に安全配慮義務違反があることが必要です。
介護事業者は、ただサービスを提供すればよいわけではなく、利用者の生命・身体・財産などの権利・利益を侵害することなく、安全にサービスを提供することが求められており、これを安全配慮義務と言います。
介護事業者の安全配慮義務および義務違反の具体的な内容は、介護事故の類型によって異なります。

転倒・転落事故であれば、介護事業者が認識していたか、または認識すべきであった個別の利用者の心身の状態を前提として、利用者がどのような状況でどの程度転倒する危険性があるのか、介護事業者はこれを踏まえてどの程度の防止措置を取らなければならないのかを具体的に検討する必要があります。

例えば、過去に52回通所介護サービスを受けていた96歳の女性が、施設の静養室において昼寝から目覚めた後に、入り口付近の段差で転倒し、大腿骨顆上骨折を負った事案について、事業者に470万円の損害賠償を命じた裁判例があります。
この裁判例では、過去に52回も通所介護サービスを利用している利用者について、認知症で視力が落ちており、転倒の危険性があり、自らトイレを探して歩行したり、昼寝の途中でも上半身を起こしたりすることがあることを事業者が把握していた以上、起き上がって移動した上で段差から転落することも予見できるにもかかわらず、細かな動静を十分に把握できる状況で見守り、起き上がった際にすぐに駆け付けることができる態勢を取らなかったことが問題とされました(福岡地方裁判所平成15年8月27日判決)。

また、誤嚥の原因となることが多いと言われている食品を提供して、認知症の利用者に誤嚥事故が発生した場合には、①利用者の認知症の程度、②食材の大きさ、治療の仕方、③介護者の食事介護の際の監視方法等が適切であったのかなどが問題となります。
正月に餅を提供することもよく問題となりますが、①嚥下機能の状態、嚥下障害の有無、②認知症の程度、③義歯の状況、④平素の食事状況、⑤本人の希望、⑥家族の同意等を考慮した上で、慎重な判断のもとに提供するかどうかを決定すべきと考えられます。

介護事業者がこのような安全配慮義務に違反し、介護事故が発生した場合に、介護事業者が利用者側に対して損害賠償の責任を負うこととなります。

損害賠償額

介護事業者に安全配慮義務違反があり、損害賠償責任が認められる場合の損害賠償額は、発生した結果によって大きく異なります。
軽微な怪我にとどまる場合には数十万円程度が相当となることがありますが、重度の後遺症や死亡に至った場合には、数百万円単位、あるいは2000万円ないし3000万円程度の損害賠償額となるケースもあります。

介護事業者としては、このような高額の損害賠償リスクに備えて、介護事業者賠償責任保険に加入するなどの事前対策を取ることが必要です。
また、実際に介護事故による損害賠償のトラブルが発生した場合には、自社の判断だけでの対応は大きな負担であると思われますので、弁護士のサポートのもとに対応に当たることをお勧めいたします。

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