Facebookは世界最大級のSNSであり、日本にも多くの利用者がいます。
Facebookにおける誹謗中傷も数多く発生しており、その被害は閲覧者も多いために深刻なものとなります。
法的な対応としては、Facebookに対する削除請求・発信者情報開示請求の手続が考えられます。
以下では、各手続について、ご説明させていただきます。

1 Facebookに対する削除請求の手続

Facebookの利用規約に違反する投稿(記事、コメント、写真、動画)は、Facebookの運営に報告することにより、削除できる可能性があります。
Facebookが禁止する行為は、いじめ・嫌がらせ、プライバシー侵害、なりすまし、不正行為・詐欺、ヘイトスピーチ、などです。
投稿の報告は、投稿の右上にある[…]マークから(コメントの報告は、問題となるコメントをタップ)行うことができます。

もっとも、誹謗中傷の投稿をFacebookに報告したとしても、削除するかどうかは運営の判断となります。
Facebookの判断により、任意の削除が行われないことも少なくありません。
そのような場合には、「送信防止措置請求」または「削除仮処分の申立て」という法的手続により削除を求めることとなります。
これらの手続に対応するためには、専門的な知識が必要となりますので、弁護士にご相談・ご依頼いただくのがよいでしょう。

2 Facebookに対する発信者情報開示請求の手続

誹謗中傷の投稿者に対し、損害賠償請求・刑事告訴などの法的措置を検討する場合、前提として投稿者の住所・氏名等を特定しなければなりません。
この点、Facebookは実名によるアカウント登録がルールであるものの、実際には偽名やニックネームでも登録ができてしまいます。
また、投稿者の氏名は分かっても住所が不明ということも多いため、投稿者の住所・氏名等を特定するための手続が必要となります。

手続としては、まずは、Facebook(の運営会社)に対する発信者情報(IPアドレス等)の開示請求を行います。
発信者情報開示請求は、任意の開示を求める方法と、裁判所の仮処分の手続により開示を受ける方法とがあります。
Facebookが任意の開示に応じることはまずないため、裁判所に発信者情報開示仮処分の申立てを行うのが通常の対応です。
裁判所が権利侵害等の開示に必要な要件を満たしていると判断すれば、Facebookに対する開示の仮処分が発令されます。
これにより、FacebookからIPアドレスおよびタイムスタンプ(送信時刻)の情報開示を受けることができます。

3 Facebookから開示される発信者情報と投稿者の特定

Facebookから開示を受けることができるのは、IPアドレスおよびタイムスタンプ(送信時刻)の情報だけとなります。
Facebook(の運営会社)は、投稿者の住所・氏名等の情報までは持っていないためです。
そのため、Facebookに対する発信者情報開示の手続だけでは、投稿者の住所・氏名等の情報を得るまでには至らず、さらなる開示の手続を踏む必要があります。

投稿者の住所・氏名等の情報を得るためには、まずは、開示を受けたIPアドレスから、投稿者が利用しているアクセスプロバイダを確認します。
アクセスプロバイダとは、インターネット通信サービスを提供しているプロバイダ業者のことです。
Whoisというウェブサイトを利用すれば、アクセスプロバイダを調べることが可能です。
アクセスプロバイダは投稿者の住所・氏名等の情報を持っているため、今度はアクセスプロバイダに対する発信者情報(住所・氏名等)の開示請求を行います。

>>>発信者情報開示請求の流れと必要期間および重要ポイント

アクセスプロバイダに対する投稿者の住所・氏名等の開示請求は、訴訟(裁判)の手続により行います。
以上のように、投稿者の住所・氏名等の開示を受ける手続は、裁判所による法的な手続となります。
その対応については、法律の専門家である弁護士にご相談・ご依頼いただくことをお勧めいたします。

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