匿名のネット掲示板の中で、多くの人が利用しているものの1つとして、爆サイがあります。
爆サイは、地域に密着した「ローカルコミュニティ」の掲示板であるという特徴がありますので、誹謗中傷やプライバシー侵害の書き込みがあると、対象となる人物や会社が特定されやすいという問題があります。
自分・自社が誹謗中傷されている書き込みを早く消して欲しい、あるいは、そのような酷い書き込みをした人を特定して責任を取ってもらいたいと思うのは当然の感情だと思います。
ここでは、爆サイに対する削除請求・発信者情報開示請求の手続について解説いたします。

1 爆サイに対する削除請求の手続

爆サイでは、利用規約の禁止事項に該当している書き込みに対して、管理者に申請をして、削除請求をすることができます。
管理者への申請は、「削除依頼フォーム」に必要事項(掲示板タイトル、スレッド№、スレッドタイトル、レス番号、通報区分、お名前、返信用アドレス、削除依頼理由)を入力することで行います。
管理者へ申請をした後、対応がされる場合には、72時間を目途に削除が行われます(ただし、長いときは数週間程度かかる場合もあります)。
「削除依頼フォーム」への入力のポイントとしては、削除依頼理由を具体的かつ分かりやすく記載することです(ただし、全角750字以内と文字数の制限があります)。
特に、レス番号内のどの書き込み部分が、禁止事項のどの部分に違反するのか、そして、自分・自社のどのような権利・利益が侵害されているのかといったことを、具体的かつ分かりやすく説明する必要があります。
「削除依頼フォーム」の入力方法、とくに削除理由の記載方法が分からない場合には、弁護士に相談されることをお勧めいたします。

管理者に申請をしても、必ず削除されるとは限りません。
爆サイの管理者が、権利・利益を侵害する投稿ではないなどとして削除不要と判断したら、問題の投稿(レス)は削除されません。
「削除依頼フォーム」を利用して管理者に申請しても削除されなかった場合には、「送信防止措置請求」か「裁判所の仮処分命令」という方法で、法的に削除してもらうことを検討することとなります。
この2つの手続は、いずれも法的な専門知識がなければ進めることは難しいと思われますので、弁護士に対応を依頼することをお勧めいたします。

2 爆サイに対する発信者情報開示請求の手続

爆サイに対する発信者情報開示請求は、「発信者情報開示請求書」を送付して行います。
「発信者情報開示請求書」の中では、どの書き込み部分によって、自分・自社のどのような権利・利益が侵害されているのかといったことを、具体的かつ分かりやすく説明する必要があることは、削除請求の場合と同様です。
「発信者情報開示請求書」と一緒に送付する必要がある書類としては、請求者の印鑑登録証明書、本人確認資料、権利・利益の侵害を証明する資料などがあります。

3 爆サイから開示される発信者情報と投稿者の特定

爆サイから発信者情報として開示を受けられるのは、投稿者のIPアドレスであり、投稿者の名前や住所の開示は受けられません。
そして、IPアドレスから分かるのは、投稿者の国・地域単位での位置、投稿者が利用しているアクセスプロバイダ(Whoisというサイトを使って、IPアドレスからアクセスプロバイダを調べます)であり、この段階では、投稿者の名前や住所などは分かりません。
つまり、爆サイに対する発信者情報開示請求では、投稿者を特定することはできません。
そのため、次に、IPアドレスから判明した投稿者が利用するアクセスプロバイダに対して、契約者(発信者)の情報開示請求をして、名前や住所の開示を受ける必要があります。

>>>発信者情報開示請求の流れと必要期間および重要ポイント

爆サイに対する発信者情報開示請求(IPアドレスの開示請求)までであれば、個人での対応もできなくはないかもしれません。
しかし、投稿者の特定のためには、その後にアクセスプロバイダへの発信者情報開示請求(契約者情報の開示請求)を行わなければならず、この手続は裁判での対応となります。
裁判となると、個人で対応することは難しいと思われますので、最初の爆サイに対する発信者情報開示請求(IPアドレスの開示請求)の段階から、弁護士への依頼を検討した方がよいでしょう。

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