意匠権とは

意匠権とは、意匠を権利者が一定期間独占的に使用することができる権利です。

意匠とは、物品の形、模様、色彩、またはこれらの組み合わせによるデザインの創作であって、美感を起こさせる外観を有するものを言います。
したがって、肉眼で判断できない粉状物の物品や、外部から見えない機械の内部構造などは、意匠には該当しないため、意匠権の対象外となります。
また、光・電気・気体・液体のデザインは、物品とは認められず、意匠には該当しないため、意匠権の対象外となります。

意匠権を得るためには、特許庁に出願し、審査を受けて、登録を行う必要があります。
意匠登録を受けるためには、工業上利用できるものであること(工業上の利用可能性)、新しいものであること(新規性)、容易に考え出すことができないこと(進歩性)などの要件を満たす必要があります。
したがって、すでに世の中に出回っているデザインと同一・類似のものなどは、意匠権の対象外となります。

意匠権の内容

権利の内容

意匠登録が行われると、権利者は、登録を受けた意匠を業として独占的に使用することができます。

効力の制限

意匠権は、登録を受けた意匠を独占的に使用することができる権利なのですが、一定の制限があります。
例えば、意匠登録の出願に係る意匠の内容を知らずに自ら意匠の創作を行った者に対し、一定の要件のもとに使用を認める先使用権の制度などがあります。

存続期間

意匠権の存続期間は、意匠登録の日から20年間となります(ただし、平成19年3月31日までに出願されたものは、意匠登録の日から15年間となります)。

権利侵害に対する救済手段

意匠権の侵害に対しては、主に次のような救済手段が法律で定められています。
意匠権の侵害をめぐる法的紛争は、意匠権を侵害されたと主張する側が、救済手段を講じることによって発生します。

差止請求

権利者は、意匠権を侵害する者に対し、侵害の停止を請求することができます。
また、権利者は、意匠権を侵害するおそれがある者に対し、侵害の予防を請求することができます。
さらに、侵害行為を組成した物や侵害行為によって作成された物の廃棄など、侵害の予防に必要な措置を請求することができます。

損害賠償請求

権利者は、故意または過失によって意匠権を侵害した者に対し、損害賠償を請求することができます。
意匠権の侵害による損害賠償請求では、立証の困難性を緩和するために、損害賠償額に関する推定規定(反証がない限り、一定の計算式によって算出された金額を損害額と認定する規定)や過失の推定規定(反証がない限り、侵害者に過失があったものと認定する規定)が法律で定められています。

信用回復措置請求

権利者は、意匠権の侵害者が権利者の信用を害した場合には、侵害者に対して信用を回復するための措置(謝罪広告の掲載など)を請求することができます。

刑事罰

意匠権の侵害に対しては、刑事罰が法律で定められています。

ご相談バナーpc
ご相談バナーpc

知的財産についてはこちらもご覧下さい

知的財産
●特許権
●実用新案権
●商標権
●意匠権
●著作権
●不正競争防止法
●ライセンス契約
●知的財産の問題を弁護士に相談するメリット