弁護士・山口龍介
八戸シティ法律事務所 所長

主な取扱い分野は、労務問題(企業側)、契約書、債権回収、損害賠償、ネット誹謗中傷・風評被害対策・削除、クレーム対応、その他企業法務全般です。八戸市・青森市など青森県内全域の企業・法人様からのご相談・ご依頼への対応実績が多数ございます。

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1 建築業法改正への対応

令和2年10月1日より、改正建設業法が施行されています。
現在、建設業界では、従事している技能労働者のうち25%以上を60歳以上の高齢者が占めており、近い将来には、技能労働者の多くが離職することが予想されています。
その反面、若手の入職者数は極めて少ないのが現状です。
そこで、今回の改正は、近い将来に多く発生することが予想される高齢の技能労働者の離職を見据えて、建設業界の世代交代に対応するためのものといえます。

建設業界の世代交代に対応するため、今回の改正の目的は、次のとおり整理できます。
①建設業界の働き方改革を進める
②建設現場の生産性を向上させる
③持続可能な事業環境を確保する

今回の改正では、特に工事請負契約書の修正が必須であるという点で実務への影響が大きいものです。
以下では、建設業法改正に対応する工事請負契約書について、解説いたします。

2 建設業法改正と工事請負契約書

建設業法19条は、建設工事における請負契約の当事者に対して、法律に規定された特定の内容(法定記載事項)を記載した工事請負契約書の作成を義務付けています。
そのため、工事請負契約書を作成しなかった場合や、作成した工事請負契約書の内容が法定記載事項を欠いていた場合には、建設業法19条違反となってしまいます。

工事請負契約書に記載すべき法定記載事項は、建設業法19条1項に列挙されています。
詳しくはこちら
>>>建設業における契約書作成の注意点

上述の建設業法19条違反に対して、罰則の規定は存在しません。
また、建設業法19条違反となっても、請負契約は有効に成立します。

しかし、建設業法19条違反によって、行政庁から指示や勧告を受けるリスクはあります。
そして、そのような指示等を受けることは、企業のイメージや信用にも関わり、風評被害も懸念されます。
また、請負契約は有効に成立するとはいえ、工事請負契約書を取り交わしていなければ、工事代金や工事内容において、当事者間で認識の違いが生じ、紛争が生じるリスクがあります。

したがって、建設業において、注文書と請書だけで工事を進めているというケースは少なくはありませんが、以上のようなリスクを考慮すると、工事請負契約書の作成は必須といえます。

3 建設業法19条と工事請負契約書の内容

上述の法定記載事項において、新たに「工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容」(19条1項4号)を明記することが義務化されています。
これは、長時間労働の常態化や週休2日の確保ができないなどの建設業界における働き方に関する課題が指摘されていた中で、働き方改革を進める観点から導入されたものです。

また、改正された建設業法は、「著しく短い工期」を禁止しています(19条の5)。
これは、通常必要とされる工期と比べて明らかに短い工期での請負契約が、過重労働の原因となっているという現状を改善するために、禁止したものと考えられます。

「著しく短い工期」について、行政庁は、違反の疑いがある発注者に対しては是正勧告を、違反の疑いがある元請業者に対しては指示処分を、行うことができます。
発注者が是正勧告に従わない場合は、そのことを公表されるため、企業のイメージや信用にも関わります。
「著しく短い工期」に該当するか否かは、中央建設業審議会が公表した令和2年7月20日付「工期に関する基準」で示された事項が考慮されているかが重要となりますので、この基準を参照して工期をチェックすることが必要でしょう。

4 今一度、工事請負契約書のチェックを

改正建築業法では、その他にも、長時間労働が発生する可能性のある事態を防止するため、注文者に対して、工期に影響を及ぼす事項(注文者があらかじめ知っている、地中や周辺環境の状況など)について契約締結時までに情報提供する義務を課しているなど、重要な事項があります。
現在使用している工事請負契約書の雛形について、改正された建設業法にきちんと対応しているかを、今一度、入念にチェックすることをおすすめします。

記事作成弁護士:山口龍介
記事更新日:2022年6月6日

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