この記事を書いた弁護士

弁護士・山口龍介

主な取扱い分野は、労務問題(企業側)、契約書、債権回収、損害賠償、ネット誹謗中傷・風評被害対策・削除、クレーム対応、その他企業法務全般です。八戸市・青森市など青森県内全域の企業・法人様からのご相談・ご依頼への対応実績が多数ございます。

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1 建設業法19条と契約書の作成義務、契約書に記載すべき内容

建設業法19条は、建設工事における請負契約の当事者に対して、法律に規定された特定の内容(法定記載事項)を記載した契約書の作成を義務付けています。
そのため、契約書を作成しなかった場合や、作成した契約書の内容が法定記載事項を欠いていた場合には、建設業法19条違反となってしまいます。

契約書に記載すべき法定記載事項は、建設業法19条1項に列挙されており、具体的には次の事項です。

【法定記載事項】

①工事内容
②請負代金の額
③工事着手の時期及び工事完成の時期
④工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容
⑤請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
⑥当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があつた場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
⑦天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め
⑧価格等の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更
⑨工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
⑩注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め
⑪注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
⑫工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
⑬工事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
⑭各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
⑮契約に関する紛争の解決方法

2 建設業法の改正と契約書の内容

令和2年10月1日から、改正建設業法が施行されています。
そして、この改正によって、上述の法定記載事項において、新たに「工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容」(19条1項4号)を明記することが義務化されています。
これは、長時間労働の常態化や週休2日の確保ができないなどの建設業界における働き方に関する課題が指摘されていた中で、働き方改革を進める観点から導入されたもので、過重労働から生じる労災リスクの防止も、その目的であると考えられます。

また、改正された建設業法は、「著しく短い工期」を禁止しています(19条の5)。
これは、通常必要とされる工期と比べて明らかに短い工期での請負契約が、過重労働の原因となっているという現状を改善するために、禁止したものと考えられます。

3 契約書を作成しない場合のデメリット

建設工事の請負契約において、契約書を作成しなかった場合や、作成した契約書の内容が法定記載事項を欠いていた場合には、建設業法19条違反となることは、上述のとおりです。
もっとも、建設業法19条違反となっても、請負契約は有効に成立します。
なぜなら、請負契約そのものは、口頭でも成立することが民法で規定されているからです。
また、建設業法19条違反に対して、罰則の規定は存在しません。

しかし、建設業法19条違反によって、行政庁から指示や勧告を受けるリスクはあります。
そして、そのような指示等を受けることは、企業のイメージや信用にも関わり、風評被害も懸念されます。
また、請負契約は有効に成立するとはいえ、契約書を取り交わしていなければ、工事代金や工事内容において、当事者間で認識の違いが生じ、紛争が生じるリスクがあります。

建設業において、注文書と請書だけで工事を進めていて、契約書は作成していないというケースは少なくはありませんが、以上のようなリスクを考慮すると、契約書の作成は必須といえます。
また、契約書を作成していたとしても、使用している契約書の雛形について、法定記載事項に欠けるところはないか、改正された建設業法に対応しているかなどを、このコラムを契機として、今一度、チェックしてみることをお勧めいたします。

記事作成弁護士:山口龍介
記事更新日:2021年12月16日

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