弁護士・木村哲也
代表弁護士

主な取扱い分野は、労務問題(企業側)、契約書、債権回収、損害賠償、ネット誹謗中傷・風評被害対策・削除、クレーム対応、その他企業法務全般です。八戸市・青森市など青森県内全域の企業・法人様からのご相談・ご依頼への対応実績が多数ございます。

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はじめに

近年、ハラスメントをめぐる法的トラブルが増加しています。
ハラスメントをする従業員は、問題社員の典型例の一つであり、対応にお困りの企業様もいらっしゃると思います。
今回のコラムでは、ハラスメントをする従業員への対応について、ご説明させていただきます。

1 ハラスメントとは?

ハラスメントとは、「嫌がらせ」や「いじめ」などの迷惑行為を意味します。
職場におけるハラスメントとしては、パワーハラスメント(パワハラ)とセクシャルハラスメント(セクハラ)が問題となることが多いです。

【パワーハラスメント】
職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えたり、就業環境を悪化させたりする行為のこと。

【セクシャルハラスメント】

従業員の意に反する性的な言動に対する従業員の対応により、その従業員が労働条件について不利益を受けたり、性的な言動により就業環境が害されたりすること。

その他にも、妊娠・出産・育児に関連するマタニティハラスメント(マタハラ)、家族の介護に関連するケアハラスメント(ケアハラ)などのハラスメントもあります。

2 ハラスメントをする従業員の問題点

注意をする時に大きな声を出したり、侮辱的な言葉を使ったりする。
必要な事項を伝えずに孤立させたり、会議に参加させなかったりする。
明らかに達成不可能な業務量を押し付けたり、草むしり・掃除などの雑用しか与えなかったりする。
家族・交際相手などのプライベートについて、しつこく詮索する。
他の従業員の身体に触ったり、性的・卑猥な言葉を掛けたりする。
性的関係・キス・ハグ・交際などを求める。
食事・デート・旅行などに頻繁に誘う。
下心が丸出しのLINE・メール・手紙などを繰り返し送る。

ハラスメントは、被害者の人格を傷付け、仕事の意欲・自信を喪失させ、メンタルヘルスの悪化にも繋がります。
被害者が精神疾患にかかったり、求職・退職に追い込まれたりすることもあります。
また、被害者本人だけでなく、ハラスメントの被害を見聞きした周囲の従業員についても、仕事の意欲が低下し、全体の生産性の悪化にも繋がり得るものです。

そして、ハラスメントの問題を放置し、適切な対応を行わなければ、損害賠償の請求を受けるリスクが高まり、企業の信用が低下することも考えられます。

ハラスメントは企業にとって重大なリスク要因であり、ハラスメント対応は昨今では特に重要な経営課題であると言えるでしょう。

3 ハラスメント対応のポイント

労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法などの法令により、企業にはハラスメント対応のための様々な措置をとることが義務付けられています。
以下では、企業がとるべきハラスメント対応のポイントをご説明させていただきます。

(1)会社方針の明確化と周知・啓発

就業規則等に「ハラスメントを禁止し、懲戒処分の対象とする」旨の定めを設け、ハラスメント防止研修を行うなど、ハラスメントに関する会社方針を明確化し、従業員に周知・啓発する必要があります。

(2)相談窓口の設置と対応体制の整備

ハラスメントに関する相談窓口を設け、従業員に周知する必要があります。
また、相談対応が円滑に実施できるように、マニュアルを整備するなどの体制を整える必要があります。

(3)迅速・適切な事後対応

事実関係の調査、加害者に対する処分等の措置、被害者に対する配慮の措置、再発防止に向けた措置を、迅速・適切に行う必要があります。

(4)当事者等の利益保護のための措置

当事者・関係者のプライバシーを保護するため、相談担当者に対して必要な指導・研修を実施し、またはマニュアルを整備するなどの措置を講じ、その旨を従業員に周知する必要があります。
また、相談をしたことを理由に不利益な取り扱いを行わないことを徹底し、その旨を従業員に周知する必要があります。

4 ハラスメントをする従業員への対応方法

ハラスメントをする従業員の問題が発生した場合には、以下のような対応をとるのがよいでしょう。

(1)事実関係の調査

まずは、ハラスメントに関する事実関係の調査を行います。
被害者、加害者双方からのヒアリングを実施することが基本であり、当事者だけでなく関係する他の従業員からのヒアリングが必要となることもあります。
ヒアリングの実施にあたっては、当事者・関係者のプライバシー・名誉感情等にも配慮しながら、慎重に進めていく必要があります。
また、聞き取った内容については、後々トラブルに発展した場合に備え、記録化して残しておくことをお勧めいたします。

(2)加害者に対する措置

ハラスメントの事実が認められた場合には、加害者に対し、就業規則に基づく懲戒処分・配置転換などの措置を検討することとなります。

懲戒処分をする際には、就業規則上の懲戒事由に該当しなければならず、ハラスメントの内容・程度と処分の重さのバランスがとれていることが必要です。
また、弁明の機会を付与する必要があり、就業規則で懲戒委員会の決議を経るなどの手続規定があれば、定められた手続を履行する必要があります。

(3)被害者に対する措置

被害者に対しては、加害者に対する措置の内容を報告するとともに、今後の再発防止策(下記)を徹底することを説明します。
また、必要に応じて、謝罪などの対応をとります。

被害者が退職した場合には、企業(および加害者)に対して損害賠償請求が行われることもあります。
この場合には、賠償の要否と金額について、慎重に検討・交渉する必要があります。

(4)再発防止措置の実施

加害者および被害者に対する措置を終えても、それで終わりではありません。
再発防止措置を検討・実施する必要があります。

加害者に対する再発防止研修の実施、会社全体を対象とするハラスメント防止研修の実施、職場環境改善の取り組み(コミュニケーション強化、長時間労働対策)などが考えられます。

5 弁護士にご相談ください

当事務所では、ハラスメントに関する事実関係の調査、懲戒処分・配置転換のサポート、ハラスメントの再発防止措置(再発防止研修の講師など)のサポート、ハラスメントに関する就業規則整備のサポートなど、様々なご相談・ご依頼事項に対応させていただきます。

ハラスメントをする従業員のことでお悩みの企業様は、労務問題を得意とする当事務所の弁護士にご相談いただければと存じます。

記事作成弁護士:木村哲也
記事更新日:2024年2月21日

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