弁護士・山口龍介
八戸シティ法律事務所 所長

主な取扱い分野は、労務問題(企業側)、契約書、債権回収、損害賠償、ネット誹謗中傷・風評被害対策・削除、クレーム対応、その他企業法務全般です。八戸市・青森市など青森県内全域の企業・法人様からのご相談・ご依頼への対応実績が多数ございます。

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1 フリーランス保護新法とは?

世間一般の理解としてのフリーランスとは、企業や組織に属さず、個人として、企業などから業務の委託を受けて仕事をする者を指しています。
フリーランスは、個人で収入を得るために事業をしていることから、労働者(事業または事業所に使用される者で、賃金を支払われる者)ではなく、原則として労働基準法が適用されません。
そのため、取引をする企業との関係では、企業からフリーランスを保護するための法律がないために弱い立場にあり、企業から一方的に契約内容を変更されたり、報酬の支払が遅れたりするなどのトラブルも発生していました。
その一方で、働き方の多様化に伴ってフリーランスの人口は年々増加し、国に対しては、フリーランスが安定的に仕事に従事することができる環境を整備することが求められていました。

このようなフリーランスの問題については、平成17年には厚生労働省の「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」報告書で議論があったものの、複数の省庁に渡って議論が本格化されたのはここ数年のことです。
令和2年の閣議決定では、フリーランスとして安心して働ける環境を整備するために、ガイドラインを策定することが示されました。
そして、令和3年3月26日、関係省庁(内閣官房・公正取引委員会・厚生労働省・中小企業庁の4省庁)が連名で「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」(以下、「フリーランスガイドライン」といいます。)を策定しました。

フリーランスガイドラインの概要は、事業者とフリーランスとの取引について、独占禁止法、下請法、労働関係法令の適用関係を明らかにするとともに、これらの法令に基づく問題行為を明確化するものです。
しかし、フリーランスガイドラインは既存の法律の適用関係を明らかにしたものにすぎず、既存の法制度では解決できない問題に対応するためには、新しく法律を作る必要がありました。
そのため、令和4年の閣議決定では、フリーランスの取引適正化のための法制度について検討し、国会に提出することとされました。

そして、既存の法律で保護されることのなかった問題に対応すべく、給付の内容等の取引条件の明示、報酬の支払期日の適正化、継続的取引における禁止行為、就業環境などの整備、解除等の予告などについて定める「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案」(以下、「フリーランス保護新法」といいます)が、令和5年2月24日に通常国会に提出されました。
そして、フリーランス保護法は、同年4月28日に成立し、5月12日に公布されました。
施行日は未定ですが、公布の日から1年6か月を超えない時期で、遅くとも令和6年秋頃までに施行される予定です。

フリーランス保護新法の概要は、フリーランスを「特定受託事業者」と位置付けた上で、フリーランスに業務の委託をする委託者に対して、下請法と同様の規制を課しつつ、一部でフリーランスに労働者と同じような保護を与え、違反する企業に対しては広く行政の指導を可能として、フリーランスを保護する内容となっています。

なお、現状、フリーランスという言葉について、法律上の定義はありませんし、後述するフリーランスガイドラインでは、「実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者」と定義しています。
また、フリーランス保護新法は、対象となるフリーランスを「特定受託事業者」として定義を規定していますが、その詳細については後述します。

【フリーランスガイドラインについて】
フリーランスが事業者と取引をする際には、その取引全般に独占禁止法が適用されます。
また、取引の発注者となる事業者(法人)の資本金が1000万円以上になる場合には、下請法も適用されます。
フリーランスガイドラインでは、これらの独占禁止法・下請法の適用関係が明記されており、①フリーランスと取引を行う事業者が遵守すべき事項、②仲介事業者(フリーランスと発注事業者をマッチングさせる事業者)が遵守すべき事項、が明記されています。
特に、独占禁止法・下請法との関係で、フリーランスと取引を行う事業者が注意すべき事項は、優越的地位の濫用規制、発注時の取引条件の明示、です。
これらの法令違反が問題となる行為類型は、フリーランスガイドラインにて具体的に記載されています。
とはいえ、フリーランスに取引を発注する企業の多くは、資本金1000万円に満たず、フリーランスとの取引において同法の適用される場面は必ずしも多くありません。
フリーランス保護新法は、このような資本金要件の制限なく、フリーランスに対して取引を発注する企業を規制し、フリーランスを保護するものです。
また、フリーランスには、原則として、労働基準法などの労働関係法令が適用されません。
しかしながら、契約の形式や名称にかかわらず、個々の業務の実態などから判断して「労働者」と認められる場合は、労働関係法令が適用されることもあります。
フリーランスガイドラインでは、「労働者」と認められる場合の判断基準やその具体的な考え方について、詳述されています。

【フリーランス・トラブル110番について】
なお、フリーランスガイドラインの策定と並行して、弁護士会が、関係省庁(内閣官房・公正取引委員会・厚生労働省・中小企業庁)と連携して、フリーランス・個人事業主の方がトラブルについて弁護士に無料で相談できる相談窓口「フリーランス・トラブル110番」を設置しています。

2 フリーランス保護新法の適用範囲:規制される取引

フリーランス保護新法は、その適用範囲を「業務委託事業者は、特定受託事業者に対し業務委託をした場合・・・」として、企業とフリーランスとの取引における企業側の行為を規制しています(フリーランス保護新法3条~5条)。
そこで、企業が取るべき対策を検討するにあたっては、その適用範囲(規制対象)になる企業とフリーランスとの取引について正確に理解することが必要となります。
まずは、各用語の定義を整理し、さらにその内容について見ていきます。

「業務委託」
事業者がその事業のために他の事業者に
①物品の製造(加工を含む)又は情報成果物の作成を委託すること
②役務の提供を委託すること(他の事業者をして自らに役務の提供をさせることを含む)
「業務委託事業者」
特定受託事業者に業務委託をする事業者
「特定業務委託事業者」
業務委託事業者であって、次のいずれかに該当するもの
①個人であって、従業員を使用するもの
②法人であって、二以上の役員があり、または従業員を使用するもの
「特定受託事業者」
フリーランス保護新法は、フリーランスを「特定受託事業者」という用語で表現しており、その定義は、以下のとおりです。

「業務委託」の相手方である「事業者」であって、次のいずれかに該当するもの
①個人であって、「従業員」を使用しないもの
②法人であって、一の代表者以外に他の役員(理事、取締役、執行役、業務を執行する社員、監事若しくは監査役またはこれらに準ずる者をいう)がなく、かつ、従業員を使用しないもの

「業務委託」
事業者がその事業のために他の事業者に
①物品の製造(加工を含む)又は情報成果物の作成を委託すること
②役務の提供を委託すること(他の事業者をして自らに役務の提供をさせることを含む)
「業務委託事業者」
特定受託事業者に業務委託をする事業者
「特定業務委託事業者」
業務委託事業者であって、次のいずれかに該当するもの
①個人であって、従業員を使用するもの
②法人であって、二以上の役員があり、または従業員を使用するもの
「特定受託事業者」
フリーランス保護新法は、フリーランスを「特定受託事業者」という用語で表現しており、その定義は、以下のとおりです。

「業務委託」の相手方である「事業者」であって、次のいずれかに該当するもの
①個人であって、「従業員」を使用しないもの
②法人であって、一の代表者以外に他の役員(理事、取締役、執行役、業務を執行する社員、監事若しくは監査役またはこれらに準ずる者をいう)がなく、かつ、従業員を使用しないもの

「業務委託」には広く役務提供の委託も含みます。
規制対象となる業種の制限もなく、あらゆる業種業態の委託者が全て適用範囲(規制対象)に含まれると考える必要があります。

「特定受託事業者」について、個人事業主であっても、従業員を雇用している場合には、対象となりません。
ここで、「従業員」の定義が明確ではありませんが、衆議院・参議院の内閣委員会における政府参考人及び大臣の答弁(以下、「政府側答弁」といいます)などによれば、「従業員」には、短時間・短期間等の一時的に雇用される者など組織として実体があるとはいえない場合は含まれず、具体的には、雇用保険の対象者の範囲を参考に、週労働20時間以上かつ31日以上の雇用が見込まれる者を「従業員」とすることが想定されており、考え方の詳細は追ってガイドライン等で示されるようです。
また、政府側答弁では、フリーランスが派遣労働者を受け入れている場合には、フリーランスが雇用契約の主体にはならないものの、派遣労働者は「従業員」に該当し得るとされています。
また、政府側答弁では、同居の親族は「従業員」には含まれないとする方向であるとのことです(フリーランスガイドラインにおける、同居の親族とともに事業を営んでいてもなおフリーランスとなり得る、とする考え方を踏襲)。
さらに、「従業員」の有無の判断の基準時については、政府側答弁では、業務委託時および問題行為時の双方で「従業員」を使用していない場合にのみ「特定受託事業者」に該当し得るとしています。

適用範囲(規制対象)についてまとめると、いわゆる一般的な企業が、法人個人を問わず単独で業務を行っている者(フリーランス)に対して、なんらかの仕事を委託する場合には、ほとんどの場合にフリーランス保護新法による規制を受けると考えられます。
また、従業員の有無により「特定受託事業者」であるかどうかがいったん確定しても、その後に従業員の雇用・辞職によって容易に適用(規制)の有無が変化することも考えられます。
したがって、企業の対応としては、個別の取引で逐一適用(規制)の有無を確認する手間を掛けるよりも、個人を含む零細事業者と取引をする場合は広くフリーランス保護新法に対応できるようにしておくことが現実的であるとえいます。

なお、以下からは、便宜上、「業務委託事業者」や「特定業務委託事業者」のことを単に「企業」、「特定受託事業者」のことを「フリーランス」といいます。

3 フリーランス保護新法の内容と企業が取るべき実務対応

フリーランス保護新法の適用範囲(規制対象)は広く、ほとんどの企業がフリーランス保護新法への対応が必要となることが想定されます。
以下では、その対応の体制構築のために、フリーランス保護新法の規制のうち、次の主な規制について、順に解説していきます。
・給付の内容等の取引条件の明示
・報酬の支払期日の適正化
・継続的取引における禁止行為
・就業環境などの整備
・解除等の予告

(1)給付の内容等の取引条件の明示(フリーランス保護法3条)

企業は、フリーランスに対し業務を委託した場合、フリーランスの給付の内容、報酬の額等を、書面または電磁的方法によって明示しなければなりません。
具体的に明示しなければならない事項は、以下のとおりです。
①給付の内容(フリーランスの業務の内容)
②報酬の額
③支払期日
④公正取引委員会規則が定めるその他の事項

【A 明示の中身について】

給付の内容(フリーランスの業務の内容)をどの程度明示するべきかについて、政府側答弁では、給付の品目、品種、数量、規格、仕様等を明確に記載する必要があり、フリーランスが作成提供すべき成果物の内容、仕様をフリーランスが正確に把握できる程度に具体的に明示する必要があるとしています。
また、政府側答弁では、フリーランスが作業する時点では具体的仕様を固めて書面等で明示することが求められ、これを怠った後に企業側のイメージと異なるとして受領拒絶・減額等をすることはフリーランスの帰責事由はないため禁止されるとしていますので、注意が必要です。

【B 明示の方法について】

明示の方法は、公正取引委員会規則の制定を待つ必要がありますが、パブリックコメントを踏まえると、必ずしも紙の書面の交付による必要はなく、電子メールでの提供も許されることになるでしょう。
また、下請法では、書面の交付に代えて下請業者にWEB上のホームページにアクセスしてもらい、ダウンロードしてもらう方法も許されていますが、フリーランス保護新法でも同様の方法が許されると考えられます。
もっとも、電磁的方法により明示を行った場合であっても、フリーランスから書面の交付を求められた場合には、原則として、遅滞なく書面で交付する必要があります。
「原則として」とありますので、法文上は、例外的に書面を交付しなくてもよい場合が想定されていますが、具体的な場合については、今後の公正取引委員会規則の制定を待つ必要があります。

なお、デジタルプラットフォーム上で企業とフリーランスがマッチングされる場合の明示については、政府側答弁では、企業が仲介業者(プラットフォーム事業者)を介して明示することも認められるとしています(企業とプラットフォーム事業者のいずれを業務委託事業者とするべきかという問題は残っています)。

【C その他の明示しなければならい事項について】

④の公正取引委員会規則が定めるその他の事項については、同規則は未制定のため、規則の制定を待つ必要があります。
政府側答弁を総合すると、企業・フリーランスの名称、業務委託した日、給付の提供場所、給付の期日は含まれると予想されます。
また、フリーランス保護新法は、下請法と同じく独占禁止法の補完法と位置付けられると考えられ、基本的には下請法の3条書面と同じ取扱いとなると想定されますので、下請法3条が参考になります。
なお、フリーランス保護新法のパブリックコメントでは、継続的業務委託の場合には、契約期間、契約の終了事由、契約の中途解約の場合の費用も明示することとされていましたが、政府側答弁によれば、フリーランス保護新法では、契約の終了事由の記載は求めないこととされたようです。

(2)報酬の支払期日の適正化(フリーランス保護法4条)

フリーランス保護新法では、フリーランスが報酬の支払遅延を受けないように、報酬の支払期日について規定されています。
また、企業からフリーランスへの業務委託が再委託の場合についても、元委託者⇒企業⇒フリーランスまで適時に報酬が支払われるように、支払期限を定める義務が設けられています。
定められている報酬の支払期日を整理すると以下のとおりとなります。
企業は、フリーランスから物品や成果物の給付を受領したり、役務の提供を受けたりした場合には、この支払期日の規定に従って、速やかに報酬を支払わなければなりません。

【原則】
フリーランスからの給付の受領日・役務の提供日から起算して60日以内(元委託者からの報酬支払期日から30日以内)

【支払期日が定められなかった場合】
フリーランスからの給付の受領日・役務の提供日

【受領日から起算して60日より長い支払期限が定められた場合】
フリーランスからの給付の受領日・役務の提供日から60日を経過する日(元委託者からの報酬支払期日からの30日を経過する日)

※( )内は、企業からフリーランスへの業務委託が再委託の場合
※再委託の場合において、元委託者から前払金を受けたときは、フリーランスに対しても必要な費用を前払金として支払うよう適切な配慮も求められています(同条6項)。

(3)継続的取引における禁止行為(フリーランス保護新法5条)

継続的な業務委託をする場合に、企業が遵守すべき禁止事項が定められています。
具体的に、どの程度の期間、業務委託が継続した場合に同条の対象となるかについては、その期間を「政令で定める期間以上の期間」とされているため、今後の政令の制定を待つ必要があります(政府側答弁では、契約期間として3か月~6か月程度を一つの参考に検討するとされています)。

【遵守すべき禁止事項】
① フリーランスに帰責事由がないのに給付の受領を拒絶すること
② フリーランスに帰責事由がないのに報酬を減額すること
③ フリーランスに帰責事由がないのに返品を行うこと
④ 通常の相場と比べて著しく低い報酬の額を不当に定めること
⑤ 正当な理由がなく自己の指定する物の購入・役務の利用を強制すること
⑥ 自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること
⑦ フリーランスに帰責事由がないのに給付内容を変更させ、またはやり直させること

(4)就業環境などの整備(フリーランス保護法12条~14条)

企業は、フリーランスの就業環境などを整備するという観点から、次に掲げることが求められています。

【A 募集情報の的確な表示】

企業は、新聞や雑誌その他の刊行物に掲載する広告等によって、フリーランスを募集する場合には、虚偽の表示または誤解を生じさせる表示をしてはならず、また、情報を正確かつ最新の内容に保つ義務があります。
これは、職業安定法5条の4とほぼ同様の規制です。
規制対象となる広告や対象となる情報は、今後、厚生労働省令で定められることになりますが、職業安定法施行規則4条の3に近い内容の省令が規定されることになると考えられます。
政府側答弁によれば、対象となる情報は、業務の内容のほか、企業の情報に関する事項、報酬に関する事項、給付の場所や期間・時期に関する事項などを想定しているようです。

【B 出産・育児・介護への配慮やハラスメント対策など】

企業は、フリーランスに対して長期間にわたって継続的な業務委託を行う場合には、妊娠・出産・育児・介護と両立しつつ業務に従事することができるよう、必要な配慮をしなければなりません(長期間の業務委託ではない場合にも、同様の配慮をする努力義務を負います)。
また、企業は、フリーランスに対して、セクハラ、マタハラ、パワハラ等の状況に至ることがないよう、フリーランスからの相談に応じ、適切に対応するために必要な措置を講じる義務を負います。
「必要な配慮」については、政府側答弁では、「妊婦の母性保護や健康管理のために妊婦健診をうけるための時間の確保や就業時間の短縮」、「育児介護等の時間の確保のために育児介護等と両立可能な就業日や就業時間を定めること」と例示したうえで、具体的な内容は、今後指針で明示するとのことです。
また、ここでいう継続的な業務委託に該当する契約期間の長さについては、今後の政令の制定を待つ必要があります(政府側答弁では、禁止行為の対象となる継続的な業務委託よりも長期が想定されるとして、契約期間として1年程度を一つの参考に検討するとされています)

(5)解除等の予告(フリーランス保護新法16条)

長期間にわたる継続的な業務委託の場合、企業は、フリーランスとの契約を解除しようとする場合または契約不更新とするときには、原則として少なくとも30日前までにその予告をする義務があります。
また、企業は、フリーランスから契約解除の理由の開示を求められた場合には、遅滞なくこれを開示する義務があります。
ここでの継続的な業務委託に該当する契約期間の長さについても、今後の政令の制定を待つ必要があります。

基本契約を締結した上で個別の注文時に個別契約を締結する形態の場合は、政府側答弁によれば、基本契約で給付内容や報酬などの主要な契約条件を定めているときには、業務委託契約の一部をなしているとして、個別契約の注文・受託状況にかかわらず、基本契約の期間をもって継続的な業務委託に該当するかどうか判断するとしています。

例外的に委託者の即時解除が認められる場合として、「災害その他やむを得ない事由により予告することが困難な場合」が規定されており、詳細は厚生労働省令に委ねられています。
この点に関する政府側答弁では、以下の場合が例示されています。
・天災等により業務委託の実施が困難になった場合
・上流の発注事業者によるプロジェクトの突然のキャンセルによりフリーランスとの契約を解除せざるを得ない場合
・フリーランスに帰責事由がある場合

4 フリーランス保護新法に違反した場合の制裁措置

一部の規定を除き、フリーランス保護新法に定める義務に違反した場合、国が、企業に対して立ち入り検査や必要な措置を勧告、命令することができます。
命令に違反した場合や検査を拒否した場合等には、50万円以下の罰金が科せられ、法人の場合には行為者と法人両方が罰せられます。
制裁措置の内容について、以下に整理します。

項目 申出・助言指導 勧告 立入検査 命令 命令違反への刑事罰
取引条件の明示 公正取引委員会・中小企業庁 公正取引委員会 公正取引委員会・中小企業庁 公正取引委員会・中小企業庁
※公表も可
50万円以下の罰金
報酬の支払期日
継続的取引に
おける禁止行為
募集情報の的確な表示 厚生労働大臣(都道府県労働局長) 厚生労働大臣(都道府県労働局長) 厚生労働大臣(都道府県労働局長) 厚生労働大臣(都道府県労働局長)
※公表も可
出産・育児・介護
への配慮
ハラスメント対策 厚生労働大臣(都道府県労働局長)
※公表も可

(報告徴求は可)
解除等の予告 厚生労働大臣(都道府県労働局長) 厚生労働大臣(都道府県労働局長) 厚生労働大臣(都道府県労働局長)
※公表も可
50万円以下の罰金

項目 申出・助言指導 勧告 立入検査 命令 命令違反への刑事罰
取引条件の明示 公正取引委員会・中小企業庁 公正取引委員会 公正取引委員会・中小企業庁 公正取引委員会・中小企業庁
※公表も可
50万円以下の罰金
報酬の支払期日
継続的取引に
おける禁止行為
募集情報の的確な表示 厚生労働大臣(都道府県労働局長) 厚生労働大臣(都道府県労働局長) 厚生労働大臣(都道府県労働局長) 厚生労働大臣(都道府県労働局長)
※公表も可
出産・育児・介護
への配慮
ハラスメント対策 厚生労働大臣(都道府県労働局長)
※公表も可

(報告徴求は可)
解除等の予告 厚生労働大臣(都道府県労働局長) 厚生労働大臣(都道府県労働局長) 厚生労働大臣(都道府県労働局長)
※公表も可
50万円以下の罰金

5 おわりに

これまでも見てきたとおり、フリーランス保護新法は、企業との関係で弱い立場にあるとされるフリーランスを保護するという観点から、企業に様々な義務を課しており、その規制範囲は広いといえます。
したがって、企業は、フリーランス保護新法の施行日までに、フリーランスとの取引において同法を反することがないように適切な対応を行うための体制を整えなければなりません。
そして、詳細な要件等については、公正取引委員会規則や厚生労働省令等を待つ必要もあります。
2023年中か2024年3月頃までに下位の法令が出揃うと考えられるため、制定の状況をチェックする必要があります。
したがって、今から、最新の動向を追いつつ、雛形の整備・変更などを確実に進めていく必要があるといえます。

記事作成弁護士:山口龍介
記事更新日:2023年9月28日

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