この記事を書いた弁護士

弁護士・荒居憲人
八戸シティ法律事務所 在籍

主な取扱い分野は、労務問題(企業側)、契約書、債権回収、損害賠償、ネット誹謗中傷・風評被害対策・削除、クレーム対応、その他企業法務全般です。八戸市・青森市など青森県内全域の企業・法人様からのご相談・ご依頼への対応実績が多数ございます。

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法改正のポイント

令和5年4月1日から、中小企業においても、月に60時間を超える割増賃金が25%から50%に引き上げられます。
これまでは、この割増賃金を定めた労働基準法37条1項ただし書きが大企業のみに適用されていましたが、令和5年4月1日以降は、中小企業にも適用されることとなるのです。
引き上げの対象となるのは、中小企業が労働者を令和5年4月1日以降に労働させた時間となります。

該当する中小企業

対象となる企業は中小企業となりますが、中小企業の定義は業種ごとに異なります。

①小売業については、資本金の額または出資の総額が5000万円以下であるか、または、常時使用する労働者数が50人以下の企業が該当します。
②サービス業については、資本金の額または出資の総額が5000万円以下、または、常時使用する労働者数が100人以下の企業が該当します。
③卸売業については、資本金の額または出資の総額が1億円以下、または、常時使用する労働者数が100人以下の企業が該当します。
④これら以外のその他の業種については、資本金の額または出資の総額が3億円以下、または、常時使用する労働者数が300人以下の企業が該当します。

法定時間外労働の割増賃金率

法定時間外労働とは、1日8時間労働、1週間40時間労働を超えた労働のことをいいます。
令和5年4月1日以降の時間外労働時間の具体的な割増率については、以下のとおりとなります。

1.月60時間未満の時間外労働に対する割増率…25%
2.月60時間を超える時間外労働に対する割増率…50%
3.午後10時から午前5時までの深夜労働に対する割増率…25%
4.法定休日労働に対する割増率…35%

このように割増賃金率は労働者が労働した時間数や時間帯によって変動するため、労働者の勤怠管理をしっかりと行う必要があります。

改正法による残業代の計算方法

時間外割増賃金の具体的な計算方法については、以下のようになります。

令和5年4月1日以降の中小企業に勤める労働者を想定して、法定時間外労働が60時間、月60時間を超える法定時間外労働が10時間の労働者で、時給が1500円の労働者については、残業代は次のように計算されます。

【計算式】
(1500円×1.25×60時間)+(1500円×1.5×10時間)=13万5000円

また、月60時間を超える法定時間外労働を深夜に行った場合には、深夜労働の割増率も加算されるので、合計75%の割増率となります。

法改正に向けて中小企業が取るべき対策

代替休暇の検討

一つ目の対策項目としては、代替休暇の検討です。
中小企業は、月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金の支払いの代わりに、有給の休暇を代替休暇として取得させることができます。

この休暇の取得には労使協定を締結し、以下の内容を定める必要があります(労働基準法施行規則19条の2)。
➀代替休暇として与えることができる時間の時間数の算定方法
②代替休暇の単位
③代替休暇を与えることができる期間

また、この代替休暇を取得させるためには、就業規則にその旨を記載する必要があります。
休暇に関する定めは、法律上、就業規則に必ず記載することになっているためです(労働基準法89条1号)。

就業規則の見直し

2つ目の対策項目として、上述した休暇に関する就業規則の記載に関連して、就業規則の見直しが必要になります。
賃金に関する定めも就業規則に必ず記載することになっているためです(労働基準法89条2号)。

例えば、以下のように賃金に関する定めを見直すことになります。
【規定例】
1か月の時間外労働に応じた割増賃金率は、以下のとおり計算する。
①1か月60時間未満の時間外労働…25%
②1か月60時間を超える時間外労働…50%

まとめ

以上のように、令和5年4月1日からは、中小企業でも月に60時間を超える割増賃金率が50%とされるため、従業員の労働時間をより正確に把握・管理する必要が出てきます。
また、残業代未払いの問題を生じさせないようにするため、残業代の計算には十分にご注意いただくのがよいでしょう。

記事作成弁護士:荒居憲人
記事更新日:2023年3月7日

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