この記事を書いた弁護士

弁護士・畠山賢次
八戸シティ法律事務所 在籍

主な取扱い分野は、労務問題(企業側)、契約書、債権回収、損害賠償、ネット誹謗中傷・風評被害対策・削除、クレーム対応、その他企業法務全般です。八戸市・青森市など青森県内全域の企業・法人様からのご相談・ご依頼への対応実績が多数ございます。

弁護士のプロフィール紹介はこちら

プロバイダ責任制限法とは?

インターネットが普及したことに伴って、匿名で他人を誹謗中傷する内容の投稿や、殺人等の違法行為を仲介するような投稿がなされるなど、インターネット上に違法・有害な情報が投稿されることが急激に増加しました。
このようなインターネット上における違法・有害な情報の投稿を行った発信者は、一次的に責任を負うべきこととなりますが、プロバイダが、発信者の情報を開示しなければ、発信者を特定し、法的に責任を追及していくことは困難です。

他方で、プロバイダは、発信者とは異なり、自ら投稿しているわけではありませんが、発信者に対し、インターネット上への投稿を可能にする手段を提供する立場にあり、かつ、投稿された違法・有害な情報を削除することが技術的に可能な場合があります。
もっとも、プロバイダが、個人の送受する膨大な量のインターネット通信について、他人の権利を侵害するような通信がないかを個別に確認し、権利侵害に関する通信を制限することは現実的に不可能です。
プロバイダは投稿者ではないものの、その責任が全くないとまではいえず、プロバイダも法的責任を負う可能性があるものと考えられていました。

これらの問題を解決し、プロバイダの責任を明確にするとともに、権利を侵害された人を救済するために、投稿記事の削除に関する制度と、発信者を特定するための手段(発信者情報開示請求権)等を定めたプロバイダ責任制限法が、2001年に成立しました。

改正の目的

プロバイダ責任制限法の成立当時は、主に電子掲示板における違法・有害な情報の投稿への対応が想定されていました。
もっとも、情報通信技術が、飛躍的に発達したことにより、法律の制定当時は予定していなかったブログ、動画・画像共有サービス、SNSなど、様々なコンテンツが登場しました。
これにより、SNSのように、コンテンツへログインし、違法・有害な情報を投稿するというような、法律の想定していなかった方法による投稿に対応する必要が生じてきました。

また、高性能なパソコンや、スマートフォンが普及したことにより、法律の制定当時に比べ、個人のインターネットへのアクセスが容易になったため、インターネット上での違法・有害な投稿も増加し、深刻化してきています。
改正前の法律では、違法・有害な投稿の被害者が発信者を特定するためには、一般的に①コンテンツプロバイダ(サイト管理者)に、IPアドレス(インターネット上の住所とイメージしてもらえればと思います。)と投稿が送信された時刻を特定する裁判手続を行い、②そのIPアドレスを管理する経由プロバイダ(携帯会社などの通信事業者等)に対し、IPアドレスの使用者の氏名や住所等を開示することを求める訴訟手続を行う、という2つの手続が必要でした。
この2つの手続が必要であることにより、被害者が発信者を特定するために多くの時間・コストがかかり、迅速な被害者救済の障害となっていました。

このような課題に対応していくために、法改正が行われました。

公布日・施行日

プロバイダ責任制限法の改正の根拠となる法律は、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律」(令和3年法律第27号)です。

公布日と、施行日(改正された法律が効力を有することとなる日)は以下のとおりです。

公布日:2021年(令和3年)4月28日
施行日:2022年(令和4年)10月1日

改正のポイント

今回の改正により、新たな裁判制度が創設され、開示請求を行うことができる範囲の見直しがなされました。
以下、具体的にご説明いたします。

新たな裁判手続の創設

今回の改正により、既存の発信者情報開示請求の手続に加えて、発信者情報開示請求を一体的な手続で行うことができる、発信者情報開示命令制度が新たに創設されました。

具体的には、以下のような流れになります。
①コンテンツプロバイダを相手方として、IPアドレス等の発信者情報開示命令の申立てをします。
また、これに付随してコンテンツプロバイダに対し、経由プロバイダの情報を提供してほしい旨の提供命令の申立てをします。

②提供命令が認められた場合には、申立人にはIPアドレス等は秘匿されたまま、経由プロバイダの名称と所在地が明らかになります。
そこで、今度は、経由プロバイダを相手方として、発信者の氏名・住所の開示を求める内容での発信者情報開示命令の申立てをします。

③コンテンツプロバイダに対し、経由プロバイダに対して発信者情報開示命令の申立てをした旨の通知をすると、コンテンツプロバイダから経由プロバイダに対して、IPアドレス等の情報が提供されることとなります。
経由プロバイダの保有するIPアドレス等のアクセスログは、保存期間が比較的短期間であるため、申立人としては、アクセスログの消去禁止命令を申し立てます。

④審理にあたって、経由プロバイダは、発信者に対して開示をしてもよいか意見を聴取し、これを踏まえて裁判に対応してくることとなります。
審理の結果、裁判所が、経由プロバイダに対して開示の決定をすると、申立人に、発信者の氏名・住所が開示されることとなります。

なお、新しい発信者情報開示命令制度が創設されたのにもかかわらず、既存の発信者情報開示請求権の制度が残された理由としては、裁判所が開示命令を発令したとしても、プロバイダ側から異議の訴えが提起され、争われることが想定されるようなケースの場合には、発信者情報開示命令手続を利用することにより、かえって審理期間が長期化してしまう可能性があることが考慮されました。

開示請求を行うことができる範囲の見直し

改正前のプロバイダ責任制限法では、開示の対象となるのが「当該権利の侵害に係る発信者情報」に限定されており、投稿時のアクセスログに基づき、発信者の情報が開示されることが予定されていました。
ところが、SNSのようなコンテンツにログインし投稿するログイン型サービスの提供事業者(コンテンツプロバイダ)は、ログイン時のアクセスログを保有している一方で、ログイン後の投稿時のアクセスログを保有していないことが多いのが実情です。
そのため、ログイン時のアクセスログしか開示されないケースにおいて、発信者情報開示請求を認めるためには、法解釈・適用の面で無理が生じていました。

このようなログイン型の投稿に対応するために、「侵害関連通信」という類型が設けられ、ログイン時のアクセスログに基づいて、発信者情報の開示を請求することができることとなりました。
もっとも、「侵害関連通信」の開示を求めていくためには、コンテンツプロバイダにおいて投稿時のアクセスログを保有していないことなどの要件を充足することが必要です。
また、「侵害関連通信」として開示の対象となるアクセスログは、侵害情報を送信するためのログインに限定されることとなるため、侵害情報の直前のログインに用いられたIPアドレスであるかどうかが問題となります。

記事作成弁護士:畠山賢次
記事更新日:2022年11月7日

「当事務所」の弁護士へのお問い合わせ方法

当事務所では、地域の企業・法人様が抱える法的課題の解決のサポートに注力しております。
お困りの企業・法人様は、ぜひ一度、当事務所にご相談いただければと存じます。

・お問い合わせフォーム:こちらをご覧ください。

今すぐのお問い合わせは「TEL : 0120-146-111 」までお気軽にお問合せ下さい(通話料無料。受付時間:平日9:00〜17:00)。
上記のメールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
今すぐのお問い合わせは「0120-146-111」までお気軽にお問合せ下さい(通話料無料。受付時間:平日9:00〜17:00)。
上記のメールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

お役立ち記事一覧

ネット誹謗中傷・風評被害対策・削除
https://www.hachinohe-kigyohoumu.com/net/
業種別の法律相談
https://www.hachinohe-kigyohoumu.com/gyoshu/
対応業務
https://www.hachinohe-kigyohoumu.com/gyoumu/
弁護士費用
https://www.hachinohe-kigyohoumu.com/hiyo/

無料メールマガジン登録について

メールマガ登録
上記のバナーをクリックすると、メルマガ登録ページをご覧いただけます。