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この記事を書いた弁護士

弁護士木村哲也

弁護士・木村哲也 
八戸シティ法律事務所 
代表弁護士

主な取扱い分野は、労務問題(企業側)、契約書、債権回収、損害賠償、ネット誹謗中傷・風評被害対策・削除、クレーム対応、その他企業法務全般です。八戸市・青森市など青森県内全域の企業・法人様からのご相談・ご依頼への対応実績が多数ございます。

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「管理職であれば残業代を支払わなくてよい」と安易にお考えではありませんか?

こんにちは。
八戸シティ法律事務所の弁護士・木村哲也です。

課長、店長、工場長など、「管理職」であるからという理由で安易に残業代を支給しないという取り扱いをしてしまっている企業様が散見されますので、このような取り扱いの危険性についてご説明させていただきます。

会社は、労働者に対し、時間外労働、深夜労働、休日労働をさせた場合には、所定の割増賃金(残業代)を支払わなければなりません。

時間外労働=法定労働時間(労働基準法では、労働時間は原則1日8時間・1週間40時間以内と定められており、これを法定労働時間と言います)を超える労働。
深夜労働=午後10時から午前5時までの労働。
休日労働=法定休日(労働基準法では、休日は、1週間に1回あるいは4週間を通じて4日以上付与することが定められており、これを法定休日と言います)の労働。

この点、労働基準法では、時間外労働および休日労働の割増賃金を支払う必要のない立場として、「管理監督者」というものが定められています(なお、管理監督者に該当するとしても、深夜労働の割増賃金の支払は免れることはできません)。
しかし、課長、店長、工場長など、「管理職」の肩書があるからといって、それだけで「管理監督者」として認められるわけではありません。
「管理監督者」と「管理職」はイコールではありませんので、ご注意いただければと存じます。

「管理監督者」に該当するかどうかは、課長、店長、工場長などの肩書ではなく、次のような要素を考慮して実質的に判断されます。

【要件1】経営者と一体的な立場にあり、労働時間の規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容および責任・権限を有すること。
具体的には、経営方針、企画立案、人事労務などの重要事項に関する決定権を持っていることです。
人事労務とは、従業員の採用・解雇、人事考課、労働時間の管理などです。
上司の決裁を仰がなければならない立場であり、自身には重要事項に関する決定権がないという場合には、「管理監督者」には該当しない可能性が高いでしょう。

【要件2】自身の出退勤をはじめとする労働時間について、自身の裁量によることができること。
自身の裁量で勤務時間の調整を行うことができることです。
一般の従業員と同様に始業・終業の時刻が決められている場合には、「管理監督者」には該当しない可能性が高いでしょう。

【要件3】賃金その他の待遇において、一般の従業員と比較して、その地位と権限に相応しい相応の待遇がなされていること。
肩書だけではなく、職責の重要性を考慮し、賃金その他の待遇において、一般の従業員よりも相当優遇されていることです。
例えば、実際の労働時間を加味しても、十分な金額の役職手当が付与されており、一般の従業員との差別化が図られているのであれば、この要件がクリアされていると判断されるでしょう。

以上のような要素を総合的に考慮して、「管理監督者」と認めるに相応しいかどうかが判断されます。
「管理職」の肩書を与えていたとしても、「管理監督者」に該当すると認められない場合には、残業代を支払う必要があります。

例えば、リーダー、係長、課長などの役職については、現場レベルの管理にとどまることが多く、「管理監督者」には該当しないケースが多いでしょう。
部長、店長、工場長などの役職についても、上記の3つの要素を十分に吟味し、本当に「管理監督者」に該当すると評価できるのかどうかを慎重に判断する必要があります。
実際問題として、地方の中小零細企業では、部長、店長、工場長などの肩書を持つ管理職については、「管理監督者」には該当しないと判断されることが多いでしょう。

※以上は、分かりやすく説明するために典型的な役職の名称を挙げましたが、肩書ではなく上記の3つの要素から実質的に判断される点にご注意ください。

このように、「管理職」であるからといって、直ちに残業代の支払を免れるわけではなく、残業代を支給しなくてもよいのは、上記の3つの要素に照らして「管理監督者」に該当する場合であるということを、ご理解いただければと存じます。
もし残業代の支給・不支給の取り扱いに困った場合には、労務問題に詳しい弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

記事作成弁護士:木村哲也
記事更新日:2021年9月30日

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