企業破産の手続の流れ

中小企業が資金不足・債務超過によって経営破たんに陥ることがあります。
経営者にとって非常につらいことですが、事業を停止して自己破産を選択せざるを得ないことも少なくありません。
企業破産では、債権者・取引先や従業員など、関係者が多数にのぼるため、事業の停止による混乱を最小限に抑えるために、計画的に手続を進めることが大切です。
一般的な流れとして、まずは、自己破産の方針を決めると同時に、事業を停止する日を決定します。
現金が最も多く手元に残るタイミング、手形が不渡りになるタイミング、その他様々な状況を踏まえながら、事業停止日を決定し、それまでは通常どおりに営業を継続するのが原則です。
その上で、裁判所に自己破産の申立てをする準備を、代表者等と弁護士だけで秘密裏に進めていきます。
事業停止日が到来すれば、事業を停止するとともに従業員を解雇し、営業所等を封鎖するなどの措置を講じます。
そして、裁判所に自己破産の申立てを行うとともに、債権者・取引先に対して事業を停止して自己破産をする旨の通知を送付します。
その後、裁判所が破産管財人を選任し、破産管財人によって企業の財産の処分や、債権者への配当などの手続が行われます。

企業代表者・連帯保証人の自己破産

企業破産のケースでは、企業代表者等が企業の負債の連帯保証人となっていることが多いです。
このような場合には、企業の自己破産の申立てと並行して、企業代表者・連帯保証人の自己破産の申立てを裁判所に行うのが原則となります。
ここで、企業の自己破産では、手続終了後に企業が消滅してしまうため、企業の財産が全て処分されるのが原則です。
これに対し、企業代表者・連帯保証人は、手続中および手続終了後の生活を維持しなければならないため、現金・預貯金、自動車、生命保険の解約返戻金など一定の類型の財産について、合計99万円までを手元に残せる制度があります。
これを「自由財産の拡張」の制度と言います。
「自由財産の拡張」の対象外の財産については、破産管財人が処分して、債権者への配当などにあてられるのが原則です。
そして、企業代表者・連帯保証人の自己破産の手続終了後には、免責(債務の免除)を受けられるのが原則です。
しかし、財産隠しを図ったとか、自己破産手続において虚偽の申告をしたなどの悪質な事情があれば、免責を受けられないことがありますので、注意が必要です。

企業破産の特徴と注意点

企業破産では、限られた時間内で計画的に手続を進めていく必要があり、専門家である弁護士のサポートが不可欠です。
そして、破産管財人の報酬にあてるための一定額の金銭や、自己破産の申立ての手続を依頼する弁護士の報酬など、一定額の金銭が手元になければ行き詰まってしまいます。
そのため、企業破産をお考えの場合には、完全に資金がショートするよりも前に、早めの段階で弁護士にご相談いただくことが大切です。
企業破産では、資金の確保、従業員の解雇、営業所の閉鎖など、多くの問題点を含むため、計画的な手続の遂行が非常に重要であるという特徴があります。
また、経営破たんの間際に企業代表者・連帯保証人の名義の財産を、親族等に移してしまうなどの対応に出ることは、財産隠しにあたる可能性があり、破産手続を混乱させる原因となりますので、弁護士に相談しながら、何事も慎重に対応されることをお勧めいたします。

(弁護士・木村哲也)