従業員が会社の売上金や物品を窃盗・横領した場合の対応は?

あらゆる企業で、従業員が売上金や物品を窃盗・横領するトラブルが発生しています。
従業員による窃盗・横領の事案では、まずは事実関係の調査・証拠の保全を行うことが重要です。
というのも、事前準備なくいきなり従業員に事情聴取すると、従業員が窃盗・横領の事実を否認し、それ以上の追及が困難になるとか、証拠隠滅を図られるなどの事態が想定されるためです。
窃盗・横領をした従業員への対応としては、解雇・懲戒処分や被害弁償の請求、刑事告訴などが考えられますが、いずれにしても十分な裏付け証拠が確保できていることが前提となります。
窃盗・横領の事実を裏付ける証拠としては、犯行の手口に応じて様々なものが想定されますので、事実関係の調査・証拠の保全の成否は経験が物を言うのです。

従業員が社外で刑事事件を起こした場合の対応は?

従業員が社外で窃盗や暴行・傷害、性犯罪、薬物犯罪などの刑事事件を起こすトラブルが発生することがあります。
中小企業の対応としては、刑事事件を起こした従業員の解雇を検討することが多いと思います。
しかし、従業員が逮捕・勾留されただけで直ちに解雇に踏み切ることには、不当解雇のリスクがあります。
不当解雇のリスクを減らすための方法として、①犯罪事実に間違いがないことを確認し、犯罪事実を認める旨の一筆を書かせた上で解雇する、②有罪判決の確定を待って解雇する、といった対応が考えられます。
犯罪事実が比較的軽微な場合には、不当解雇のリスクを回避する観点から、解雇まではせずに懲戒処分で済ませるとか、自主退職を求めるなどの対応が無難なケースもあるでしょう。
なお、刑事事件を起こした従業員の雇用を継続し、刑事手続への対応を支援する場合もあります。

トラブルを回避するための事前対策・再発防止策は?

従業員による窃盗・横領や従業員による社外での刑事事件の事案に共通する事前対策・再発防止策としては、
①売上金や物品の管理体制を整備し、窃盗・横領の発生を防止すること
②従業員の採用時に身元保証人を立てさせること
③就業規則の服務規律や懲戒規定の整備・見直しを行うこと
が考えられます。
就業規則に関しては、社外での犯罪行為を理由に懲戒処分を行う場合には、就業規則に懲戒事由として規定されている必要があります。

従業員による窃盗・横領、その他の犯罪事案に対し、無防備な体制であってはなりません。
このような事前対策・事前防止策についても、弁護士にご相談いただくのがよいでしょう。

(弁護士・木村哲也)