この記事を書いた弁護士

弁護士・神琢磨
八戸シティ法律事務所 在籍

主な取扱い分野は、労務問題(企業側)、契約書、債権回収、損害賠償、ネット誹謗中傷・風評被害対策・削除、クレーム対応、その他企業法務全般です。八戸市・青森市など青森県内全域の企業・法人様からのご相談・ご依頼への対応実績が多数ございます。

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1 無断欠勤を繰り返す社員とは?

社員が時に欠勤してしまうのはやむを得ないことですが、欠勤をしてしまうとその社員が行うはずだった業務に支障が出てしまいますから、前もって欠勤の連絡をするのが社会人としての常識です。

しかし、中には事前に連絡もなく欠勤してしまう社員も存在します。
そのような社員は、欠勤することを軽視しており、複数回にわたって無断欠勤をする可能性があります。
また、無断で欠勤し、そのまま出社しなくなる社員も存在します。

このコラムでは、このように無断欠勤を繰り返す社員を念頭において、そのような社員への対応方法について解説します。

2 無断欠勤を繰り返す社員による企業・周囲への影響

企業においては、必要な人員数を踏まえて雇用・人員の配置を行っているのが通常ですので、事前に予告なく欠勤されると、本来予定していた業務が行えなかったり時間がかかってしまったりと、業務に多大な支障が生じます。

また、一見現場は回っているように見えても、他の従業員には人員が不足した分のしわ寄せがきていることになります。
このことは、きちんと出勤している従業員が不満を感じて離職する原因になったり、時間外労働や残業代トラブルが発生したりといった形で深刻な問題になり得ます。

さらに、無断欠勤にきちんと対処せずに、無断欠勤が繰り返されてしまうと、他の従業員も含めて、無断欠勤が許される職場であるとの認識を持たれてしまい、さらに問題が大きくなる可能性があります。

3 解雇は可能?条件はある?

結論として、無断欠勤を理由とする解雇が適法に行える場合もありますが、一定の悪質な場合に限られるほか、適切な手続きを経て行う必要があります。

解雇は客観的な合理性と社会通念上の相当性を有するものである必要があり、無断欠勤に関していえば、無断欠勤の悪質性や、注意指導や弁明の機会の付与といった適正な手続きをとっているかといった点が問題になります。

例えば、無断欠勤をしたとしても、その原因が職場環境にある場合や、精神疾患などのやむを得ない事情がある場合に何ら対策をせずに解雇をしてしまうと、不当解雇になる可能性があります。

また、数日程度の無断欠勤があるからといって直ちに解雇ができるわけではありません。
どの程度の無断欠勤があれば解雇できるかは事案にもよりますが、無断で欠勤し、そのまま出社しなくなったケースであれば2週間が目安と考えられています。

さらに、いきなり解雇を行ってしまうと無効と判断されるリスクが高く、後述の指導や出社命令、他の懲戒処分といったプロセスを踏んでいく必要があります。

4 無断欠勤を繰り返す社員への対応方法

(1)本人に連絡を取る

無断欠勤がどのようなものであるかによって必要な対応が異なります。

本人と連絡が取れるようであれば、まずはその事情を本人から確認すべきです。

他方、連絡も取れないようだと、事故や急病、犯罪などの緊急事態の可能性も考えられますので、安否確認のため自宅への訪問や家族への連絡も行うのがよいでしょう。

(2)原因に応じた対策

無断欠勤が単なる怠慢によるものであれば、本人に対する注意・指導を行っていくことになります。
その際、後述の懲戒処分を行っていく可能性も踏まえると、指導の内容を記録化しておくなど、適切に指導を行ってきたという証拠を残すことが望ましいです。

他方、欠勤が精神疾患や職場環境による場合は、療養を促したり、職場環境を改善したりといった対策を取っていくことになります。

また、社員が一向に出社しないケースであれば、書面やメールなどの証拠が残る形で、出社命令を出すことが考えられます。

(3)懲戒処分の検討

無断欠勤が改善されない場合や、社員が一向に出社しない場合は、懲戒処分を検討することになります。

前提として、就業規則において、無断欠勤に対して懲戒処分を行うことができる旨を定めておく必要があります。

また、いきなり解雇という重大な処分を行ってしまうと無効と判断される可能性が高いため、けん責などの軽い処分から検討すべきです。
退職させざるを得ない場合でも、可能な限り退職勧告などの社員の合意の元で退職する形を取るのが無難ということになります。

(4)解雇

それでも従業員の無断欠勤が改善されず、あるいはまったく出社しない場合には、最終手段として解雇を行うほかありません。

指導をしてきたものの改善されないケースであれば、これまでの指導や弁明の機会の付与、先んじて行ってきた比較的軽い懲戒処分などの証拠を確保し、効力に問題が生じないよう慎重に解雇する必要があります。

また、社員が出社してこないケースであれば、解雇通知の到達を証明するため、内容証明郵便にて解雇通知書を送付することになります。

5 無断欠勤を繰り返す社員への対応を怠るリスク

上記のように、無断欠勤を繰り返す社員への対応は、根気強く改善を求め、それでも改善されない場合に解雇などに踏み切るという判断をすることになり、多大な労力を伴うものです。

しかし、このような対応を怠ってしまうと、真面目に勤務している従業員の負担が大きくなり人材離れにつながったり、無断欠勤が許される職場であるとの理解が浸透してしまい、他の従業員も容易に無断欠勤をするようになったりしかねません。

6 無断欠勤を繰り返す社員への対応を弁護士に依頼するメリット

無断欠勤は業務や他の社員に与える影響が深刻なものですから、企業として厳格に対応していくべきです。

他方、最終的に解雇も視野に入れる必要があることからすると、指導や懲戒処分を証拠化しつつ順序だてて行っていかなければなりません。

このような対応を弁護士に依頼することで、無断欠勤の原因や状況に応じた対応を、リスクを避けながら確実に行っていくことが可能です。

7 問題社員対応は当事務所にご相談ください

無断欠勤を繰り返す社員などの問題社員への対応については、企業の皆様におかれましては常に頭を悩ませていることと存じます。

問題社員対応は、非常に労力を伴ううえ、解雇が無効と判断されると高額な未払賃金の支払義務が発生しうるなど、非常にリスクの大きいものです。

このような問題社員対応については、弁護士のサポートのもと、慎重に行っていくことをお勧めいたします。
問題社員対応については、ぜひ一度、当事務所までご相談いただければと存じます。

記事作成弁護士:神琢磨
記事更新日:2025年11月11日

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